漆器のお手入れ

漆器のお手入れについて

漆器は、日常の使用や保管状態によって、表面が劣化して艶が無くなる・蒔絵の金が薄くなるといった形で傷みが目立ってきます。傷みが進むと、漆が剥がれる・ひびが入る・欠けるというように器本体の修理が必要な状態にもなりかねません。漆器を包む紙や布、箱も、扱いによってはカビの原因や艶が無くなる原因となります。また、木製の漆器は虫がいると食われてしまう心配もあります。
それでも、日頃から使用後の正しい洗浄と状態の確認を行い、定期的なお手入れをすることで、破損を防ぎ美しさを長く保つことができます。

La Laque KYOTOでは、ご自身でできる正しい漆器の扱い方をお伝えすると共に、ご自身では難しい定期的なお手入れを承っております。
例えば、いつも気持ちよく使えるよう、新しい漆でコーティングして表面を丈夫にして艶を取り戻したり、傷ついてしまった箇所は傷を大きくしないようにお手入れをいたします。(表面に蒔絵や沈金が施されているものは塗りなおすと絵が失われてしまいますので、こういったもののお手入れについてはまずご相談ください)

漆の特性

漆は、他の塗料にはない独特の性質をもっています。

乾き方

漆は生きている

一般的な塗料は、含まれる水分や揮発する成分が失われて「乾く」のですが、漆は酵素の作用で硬化します。これには空気中の水分を必要とするため、「乾く」に適した湿度と温度が必要です。職人たちは、一定の湿度と温度を保ち、漆のご機嫌を伺いながら硬化するのを待ちます。この加減で発色や艶感が違ってくるので、気の抜けないところです。

抗菌作用

昔からの知恵

近年の研究で、漆の持つ抗菌作用が認められています。(参考書籍:小川俊夫「うるしの科学」)
安全・衛生上の理由で、食器に使用できる塗料は限られていますが、漆は食器に適しているだけでなく、抗菌効果があるために食品の保存容器にも向いています。昔からお正月のお節料理が漆塗りの重箱に詰められたのは、この作用を人々が知っていたからかもしれません。

加工の多様性

多彩な表現

漆は、塗ってから研いで整形したり、磨いて艶を調節するといった加工が可能です。落ち着いた艶消し、しっとりとした半艶、ピカピカの鏡面仕上げといった質感の演出はもちろん、螺鈿や卵殻を埋没させてから表面を研いで模様をつくったり、何色も重ねて塗ってから研いで下に塗った色を出すなど、職人の手によって様々な表現がなされます。
その他、意外と知られていないのは、接着剤としても利用されていること。陶磁器の破片を繋ぎ合わせる際には漆を使いますし、金箔を貼るのにも漆を使われることが多いようです。

漆器のお手入れ事例

実際に漆器のお手入れを施した事例と、料金の目安をご紹介しています。